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2017年11月 9日 (木)

選挙とお茶・コーヒー

解散・総選挙ということになってから突然忙しくなってしまい,しばらく更新していませんでした。

総選挙も終わったところで,私は弁護士の前は代議士秘書(政策秘書)をしておりましたので,選挙のこぼれ話も少し書いておこうかなと思います。

今日のテーマは選挙とお茶・コーヒー。
選挙事務所では,お客さんにお茶を出すことはできても,コーヒーは出してはいけない,ということになっていることをご存知でしょうか。
気になる候補者がいて,選挙事務所に顔を出したとき,出されたお茶を飲むのはOKですが,コーヒーが出されたら飲んではいけません。お酒はもちろんダメです。


選挙に際して,いわゆる「買収」が違法であることは皆さんご存知だと思います。
当然,選挙にかかわるスタッフも,少しでも心掛けのある事務所であれば,一緒に食事をしても割り勘を徹底しています。

「買収」は公職選挙法221条1項に規定があり,1号の

「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき」

など,6つの行為のいずれかに該当すると,懲役刑・禁錮刑(いずれも3年以下),罰金刑(50万円以下)を科されることがあります。
なお,買収をした人が候補者であった場合や多数の人を買収した場合など,さらに刑が重くなることもあり,さらに買収で受け取った金銭などは没収されます(同法224条)。

これに関して,公職選挙法139条は「飲食物の提供の禁止」を定めており,

「選挙運動に関し」「飲食物(湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子を除く。)を提供すること」

を禁止しています。
例外は,上のカッコ内にある「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子」と選挙運動員に対する弁当(ただし数量限定)だけです。

単に事務所に顔を出しただけであれば選挙運動員ではありませんから,飲食できるのは「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子」に限られます。
そして,お茶はこの「湯茶」に含まれますが,コーヒーは「湯茶」に含まれないと解釈されています。
さらに,「菓子」もなんでもいいわけではなく,「これに伴い通常用いられる程度の」とありますから,お茶請け程度のものに限られるということになるのです。


そうしますと,お茶を出すのは適法,コーヒーを出すのは違法となります。

そして,事務所の方はお客さんに,1票入れてもらいたい,又は友人・知人に投票するよう声をかけてもらいたいと考えて接待するのが通常でしょうから,コーヒーを出した事務所の方は公職選挙法221条1項1号の「当選を…得しめ(る)…目的をもつて選挙人…に対し…物品…の供与、その供与の申込み…をし又は供応接待、その申込み…をしたとき」にとして買収罪にあたる可能性が高いといえます。

お客さんの方も要注意です。公職選挙法221条1項4号には

「第一号…の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号…の申込みを承諾し…たとき」

とありますから,買収を受けた人も,買収した人と同様に処罰されてしまう可能性があります。
したがって,お客さんの方も,コーヒーを飲んではいけません。
付け加えると,「要求」も処罰対象ですから,選挙事務所でコーヒーをくれとか,ジュースをくれとか,お菓子にケーキを出せとか要求することもダメです。

コーヒー1杯で警察が現実に検挙するかはわかりませんが,法律上はダメですから注意してください。

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