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2018年2月 9日 (金)

お金がない人にあげる奨学金よりお金がある人にあげる奨学金の方が大事!?

文科省に「高等教育段階における負担軽減措置に関する専門家会議」という会議が設置されたそうです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/086/gijiroku/1400886.htm

住民税非課税世帯の子どもが大学や専門学校に進学しようとするときの経済的支援を拡大しようと言うことで、それを具体的に詰めていく会議なんだそうです。
メンバーは県知事1名、国立大学長1名、私立大学長1名、専門学校関係1名(全国各種学校専修学校総連合会常任理事)、高校PTA連合会相談役1名、学識経験者らしき大学教員も1名いますが、公共経済学が専門で、学生に対する経済的支援が学生の進学にどのような影響を及ぼすかを分析する教育社会学や教育経済学の専門家がいません。
高校PTA連合会の方も夫が県議を長く務めた後で町長になられた方だそうで、貧困世帯の子どもの進学について当事者性は見出せません。
このような会議で地に足のついた議論ができるのか甚だ疑問です。せめて国立大の学長くらい東京工業大ではなく地方大学にすればいいのに。

さて、資料5に高等教育進学をめぐっての資料がいろいろ入っています。なかなか有用です。

ただ、13頁をみると、私学助成で130億円(平成30年度予算案)を私大の行う授業料免除などの支援に使っています!と書いてあるのですが、詳しく見ていて驚きました。

「1.授業料減免事業等支援」は「経済的に修学困難な学生に対し、授業料減免等の事業を実施している私立大学等」ということで、主にお金がない学生への支援であり、「所要経費の1/2以内で支援」、つまり、経費の半分まで予算の限りで出しますよ、という形です。

他方、「2.各大学における特色ある経済的支援策」の「(1)卓越した学生への経済的支援」は「成績優秀者等への授業料減免等を実施している私立大学等」ということで、お金がある学生でも成績が良ければ支援します、というものです。ところが、「所要経費の2/3以内で支援」、つまり、お金のない学生が対象だと50%が上限なのに、成績のいい学生が対象だと66%(2/3)まで出すと言うのです。

統計データを出すまでもなく、お金のない学生は授業料を免除してもらっても、生活費を稼がないといけませんから、アルバイトをせざるをえない学生が大半で、予習や復習の時間は限られます。
それに対し、家庭に経済的な余裕のある学生は親が授業料も生活費も出してくれるので、勉強時間がたっぷりあります。
この人たちを同列に競争させて、成績が良かった方に授業料を免除します、という制度を作ったら、お金持ちの家庭の学生が授業料免除を受ける可能性が高いことは明らかです。家計状況を無視して成績だけで決めるのは、そもそも平等な競争ではないのです。

大学が自己資金でこのような制度を作るのは自由かもしれません(私は自己資金でも問題があると思います)。
たしかに「優秀」な学生がほしい、学生をお金で釣ってでももっと勉強してほしい、という気持ちは分からないではありません。卒業生に知名度の高い企業や公務員に就職してもらわないと入学者が集まりませんから。

しかし、このような不公平な競争を「特色ある経済的支援策」などとして、お金のない学生を応援するよりもたくさん補助金がもらえる仕組みを作ることは間違っているのではないでしょうか。

たしかに、お金がなくても意欲と能力さえあれば高等教育を受けられる仕組みを作るということと別に、特に高い能力をもつ「卓越した学生」を養成する必要はあるでしょうし、そのような「卓越した学生」が公費で学ばせてもらったから社会に恩返しをしよう!というふうに動機付けする仕組みがあればなおよいでしょう。
ただ、そのような学生の養成を日本中の大学で行う必要はありません。旧帝大などごく一部の大学で行えば十分と私は考えています。各大学の中で「卓越した学生」が必要なのではなく、同世代の中で「卓越した学生」が必要なのです。
それ以外の多くの大学・専門学校は、広く高等教育を保障する役割を担うべきでしょう。
この助成を利用している大学名を知りたいものです。

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