自然体験キャンプと旅行業法

2017年8月 2日 (水)

旅行業法とサマーキャンプ問題:3 「営む」の意義についての考察

3 「営む」の意義についての考察

(1)高松高判平25.1.29高刑速平25-259について

ア 「旅行業に該当する行為を営むとは,営利の目的で,旅行業に該当する行為を行うことをいう」と判示した前掲高松高判平25.1.29は,「営む」が「営利の目的」を含むと解釈した根拠として,旅行業法29条1項が,旅行業を営もうとする者の登録義務を定めた同法3条による登録を受けないで,同法2条所定の旅行業該当行為を「営んだ」場合の刑事罰を定めているところ「旅行業法の目的である旅行の安全の確保や,旅行者の利便の増進等のためには,無登録者が不当な利益を目的として旅行者と運送等サービス提供者との間に介入する行為を防止する必要性が高く,旅行業法29条1号もそのような行為を刑事罰をもって抑止するために設けられたものと解される」ことを挙げています。

この判示は,営利の目的がない場合は,無登録で旅行業該当行為を行っても,実害が生ずるおそれが高いとは言えず,また行為者も経済的な利益を得ようとしていないため刑事罰を与える必要があるとはいえないのに対し,営利の目的がある場合は,旅行者が相当の経済的損害を被る危険があり,また行為者も経済的な利益を得ようとしたものであり,悪質であって処罰の必要があると考えられるから,妥当であるといえます。

イ なお,この判決中には,高裁の審理において,検察官も「旅行業法29条1号に違反する罪の構成要件として「営利目的」が必要であるという解釈を前提に」意見書2通を提出した旨指摘されており,検察官は破棄差戻の可能性があったのに,「営利目的」が必要であることを争わなかったことが分かります。

検察官としては,この事件について当然「営利目的」が認められると考えていたとしても,他の事件への影響がありうるため,「営利目的」の有無によらず無登録営業罪が成立するというべき理由があれば,その解釈について争い,場合によっては高裁判決に対して上告を申し立てるべきところ,それをしていないわけですから,この点からも「営利目的」が必要であるという判断は相当であるとみられます。

(2)宅地建物取引業法等との比較及び制定経緯等

ア 他の業法における「営む」の意義

○○業を「営む」という用語は,ほかの法律(いわゆる業法)にも使われており,最高裁の判断がなされたものもあります。

最も古いとみられるのは,古物商営業法につき,同法「六条にいわゆる営業とは、営利の目的で同条所定の行為を反覆継続して営む意思を以てなすことを指称する」とした最決昭31.3.29集刑112-851ですが,その後宅地建物取引業法につき,同法「一二条一項…にいう「宅地建物取引業を営む」とは、営利の目的で反復継続して行う意思のもとに宅地建物取引業法二条二号所定の行為をなすことをいう」とした最決昭49.12.16刑集28-10-833(同旨:最決昭48.7.7集刑189-341)も出されました。

他方,相互銀行法につき,同法の「相互銀行業を営む」については「営利を目的とすることは必ずしもその要件とするところではない」とした最決昭35.7.26刑集14-10-1295もあり,○○業を「営む」が常に「営利の目的」を含意するとまではいえず,結局法の趣旨目的等に照らして検討するべきであると考えられます。

もっとも,他に漁業法・水産資源保護法(東京高判平19.8.9高刑速平19-287),建設業法,質屋営業法などについても「営む」は営利目的を含むと解されており,営利目的の有無を問わないという相互銀行法がむしろ例外的といえます。

そして,旅行業法の目的(1条)に照らすと,「営む」は「営利の目的」を含むと考えるべきことは,前記(1)のとおりです。

イ 宅地建物取引業法・相互銀行法との比較

 また,旅行業法と宅地建物取引業法は制定も同年(昭和27年)であり,いずれも議員立法で制定され,当初は同じ登録制度を採用し(宅地建物取引業法はのち免許制度に変更),現在,営業保証金制度や資格制度を設けている点も共通です。

他方,相互銀行法も議員立法ですが,相互銀行業は営利の目的の有無によらず,多額の金銭を相当期間預かる金融業務であるから監督の必要性が高く,監督の適正を期することが同法の目的の筆頭に掲げられていることからすれば,営利の目的の有無によらず相互銀行法で規制するべき要請が強かったといえます。

そうすると,旅行業法は相互銀行法よりも宅地建物取引業法に親和性があり,宅地建物取引業法と同様に「営利の目的」を要すると考えるのが自然です。

ウ 旅行業法制定時の議論について

さらに,旅行業法についてみると,昭和27年の旅行業の制定時(当初は「旅行あっ旋業法」として制定),提案者である石村幸作参議院議員は,提案理由として「今や国民経済も着実に復興しつつあり、これに伴い外客来訪数が増加するのは勿論、邦人の国内旅行も日に多きを加えております。このため旅行あつ旋業者の数も急激に増加し、その中には悪質業者も少くなく、各地に旅行費用の詐取、客の携帯する主食、宿泊交通費等の一部の着服等々の被害を生じ、又外客に対するあつ旋の強要、あつ旋料の不当なる要求等の好ましからぬ事件を惹起している状態であります。」(参議院運輸委員会昭27.5.22)と述べており,詐取・着服・不当要求などによって不当な利益を得ようとする悪質業者の取り締まりが目的とされていたことは明らかであり,このようなおそれのない,営利目的がない場合まで規制する意図があったとはいえません。

加えて,提案者は制定当初~国鉄民営化まで設けられていた,国を適用除外とする規定につき「本法の適用の除外でありますが、この法律は国の行う事業には適用しないことになつております。ここに国とは、日本国有鉄道をさしておるわけでありますが、かかる規定を設けたのは、国有鉄道は営利を目的とする旅行あつせん業を営むものとは認められず、本法の適用を除外しても何らさしつかえないと思料されたからであります。」(衆議院運輸委員会昭27.5.30)と説明しており,この点からも営利を目的とせず旅行あっ旋業を行う場合には,旅行あっ旋業法による規制の必要はないとみていたといえます。

エ 適用除外の規定について

なお,この適用除外の規定は国鉄民営化に際し削除されています。宅地建物取引業法には,現在も国及び地方公共団体を適用除外とする規定がありますが(宅地建物取引業法78条1項),古物営業法,質屋営業法には適用除外の規定はありません。

そうすると,適用除外の規定は確認規定であると考えられます。

つまり,適用除外の規定がなかったとしても,国や地方公共団体は当該業を行うにあたり営利の目的がないため,法的に問題はないのですが,国や地方公共団体が当該業やそれに類似した行為を行うことが予想される場合,適用除外の規定がないと,法律の解釈を行う必要が生じて面倒です。

適用除外の規定を設けておくと,国や地方公共団体に違法の疑いがかかることを避けることができますから,業法の適用の有無が実務上問題となりうるような場合に限って,適用除外の規定は設けられるものであって,国や地方公共団体が当該業を行うことが予想されない場合は適用除外の規定を設ける必要はないため設けられないものと考えられます。

旅行業法についても,国鉄は旅行業を行うことがあり,営利の目的がないため実際は適用がないものの,旅行業を行う以上は旅行業法の適用の有無が実務上問題となりえたため適用除外の規定を設け,国鉄民営化後は国が旅行業を行うことは予想されなかったため,適用除外の規定が削除されたとみられます。

また,地方公共団体が旅行業該当行為を行うことは当初から予想されなかったため,適用除外の規定は国のみであったといえます。

オ 国会答弁や運用について

旅行業法については,従前,観光庁等において,旅行業法に基づく登録義務は,営利の目的の有無を問わず旅行業を行う場合に必要となる旨の国会答弁がなされ,またそのような旅行業法施行要領が運用されてきました。

しかし,宅地建物取引業法についても,前記最決昭48.7.7集刑189-341,最決昭49.12.16刑集28-10-833の前には,営利目的の有無を問わず,宅地建物取引業を行う場合は登録を要する旨の国会答弁がされていましたし(衆議院建設委員会昭和43年5月8日),そのように運用されてきたとみられます。

それでも,最高裁において,宅地建物取引業を営むとは,営利の目的で宅地建物取引業を行うという意味である旨の判断が示されていますので,旅行業法について前記のとおりの国会答弁や運用がなされていたことから,旅行業法についても高松高裁の判断が誤りであるということはできません。

旅行業法とサマーキャンプ問題:2旅行業法をめぐる観光庁の運用の問題

2 旅行業法をめぐる観光庁の運用の問題

(1)旅行業法施行要領について

ア 旅行業法施行要領は観光庁の通達ですが,その「第1 定義(法第2条)」「1 旅行業(法第2条第1校)」の2)に「国、地方公共団体、公的団体又は非営利団体が実施する事業であったとしても、報酬を得て法第2条第1項各号に掲げる行為を行うのであれば旅行業の登録が必要である。」との記載があります。

この文言は,国,地方公共団体,公的団体又は非営利団体という通常営利を目的としない団体であっても,旅行業を行うのであれば旅行業の登録が必要であると述べているものであり,「営利の目的」の有無によらず,旅行業法3条の登録義務があると解釈しうるものです。

実際,観光庁の従前の運用は,営利の目的の有無によらず,旅行業を行うには登録の必要があるというものであり,国土交通省関東運輸局のウェブサイトには,「旅行業を行うには旅行業法に基づき,登録を行う必要があります。」との記載があり,旅行業法の文言が「営む」であるにもかかわらず,営利の目的の有無を問わないと解される「行う」だけでも登録義務があるという誤った記載がなされています。

イ たしかに,旅行業法には宅地建物取引業78条1項のような適用除外の規定はありませんから,国や地方公共団体,公的団体又は非営利団体といえども,実質的に見て営利の目的で旅行業該当行為を行っているとみられる場合には,旅行業法上の無登録営業となることは否定できません。

ウ しかし,現在の旅行業法施行要領の記載は,営利の目的の有無を問わず,旅行業該当行為を行うだけで登録義務があるという誤った解釈をさせるものです。

そもそも,国民に義務を課し,国民の権利を制限するには,国会で定められた法律によらなければならない,というのが法治主義の原則です。

そして,営利の目的なく旅行業該当行為を行う場合について,旅行業法は何ら規制するものではありませんから,法律ではない旅行業法施行要領によって,営利の目的なく旅行業該当行為を行う場合まで規制することはできません。

エ したがって,このような誤解を招く旅行業法施行要領第2の1の2)の規定は,違法のおそれがあり,少なくとも「報酬を得て」の前に「営利の目的で」との文言を追加すべきです。

 

(2)7月28日付通知について

ア 7月28日付通知とは

観光庁は,今回の一連のサマーキャンプ中止問題を受け,平成29年7月28日に「自治体が関与するツアー実施に係る旅行業法上の取扱いについて(通知)」と題する通知(観観産第173号,「7月28日付通知」といいます。)を発しました。

この通知は,旅行業法の適用につき,営利性が問題となることを指摘した点では評価できますが,旅行業法の解釈を誤ったものであり,かえって現場に混乱をもたらしかねないものであると考えます。

 

イ 問題点①=旅行業法に抵触するか否かの判断枠組みの誤り

(ア)前記のとおり,旅行業法上の登録をしなければならないのは,次の[1][4]の4要件をすべて満たす場合であって,いずれか1つでも要件を満たさないものがあれば,登録義務はありません。

 

[1]報酬を得ること

[2]同法2条1項各号の行為を行うこと

[3]事業であること

[4]営利の目的があること

 

(イ)しかし,7月28日付通知は,「自治体がツアーの実施に関与する場合のうち,下記1.のように自治体が実質的にツアーの企画・運営に関与し,かつ営利性,事業性がないものであれば,旅行業法の適用がない」とし,さらに「自治体が関与するツアーについて,実質的に企画・運営するものであることが必要である。参加費等名目を問わず参加者から徴収する金員では,収支を償うことができないこと,日常的に反復継続して行われるものでないこと,不特定多数の者に募集を行うものでないことは,営利性,事業性がないことを裏付けるものとして,当然に求められる。」としています。

この文言は,次のすべての要件を満たす場合に限り,旅行業法の適用がないという解釈であると考えられます。

 

<1>自治体が実質的にツアーの企画・運営に関与すること

<2>参加費等名目を問わず参加者から徴収する金員では,収支を償うことができないこと

<3>日常的に反復継続して行われるものではないこと

<4>不特定多数の者に募集を行うものでないこと

 

(ウ)まず,<1>の要件は,前記[1][4]の要件と無関係です。自治体が単に募集・受付・参加費の徴収等のみを行い,ツアーの企画・運営に関与しなかったとしても,旅行業に該当するというのが旅行業法施行要領の立場であり(同要領第1の2の3)(3)イ)及びハ)),まして実質的にツアーの企画・運営に関与すれば旅行業に該当することは言うまでもありません。

また,自治体が実質的に関与するかどうかによって,自治体の営利の目的の判断が変わることもありません。

したがって,<1>の要件は,旅行業法の登録義務に無関係です。

なお,ツアーにおける安全確保等の観点から,自治体が実質的に企画・運営に関与すべき要請があることは否定しません。

(エ)次に,<2>の要件は,前記[4]の要件と関係します。

<2>の要件を満たす場合,[4]について営利の目的はないといえますから,これだけで旅行業法の登録義務はないことになります。

したがって,<2>の要件は,それ単独で旅行業法の適用がないことの理由となり,他の要件は不要となります。

(オ)さらに,<3>の要件は,前記[3]の要件と関係します。

反復継続して行われるものではなく,その見込みもなければ,[3]について事業性がないといえますから,これだけで旅行業法の登録義務はないことになります。

したがって,<3>の要件は,それ単独で旅行業法の適用がないことの理由となり,他の要件は不要となります。

ただし,裁判所は単に「反復継続する意思をもって一定の行為を行う」といえるかどうかで判断しており,「日常的に反復継続」という文言が,単なる「反復継続」に比べて高い頻度を要するという趣旨であれば,旅行業法の「事業」の意義を狭く解釈する誤りがあるといえます。

(カ)最後に,<4>の要件は,前記[2]の要件と関係します。

不特定多数の者に募集を行うものでなければ,[2]の「募集」にあたりませんから,これだけで旅行業法の登録義務はないことになります。

したがって,<4>の要件は,それ単独で旅行業法の適用がないことの理由となり,他の要件は不要となります。

なお,付け加えると,7月28日付通知ではこの要件は「営利性,事業性がないこと」の裏付けであるかのように記載されていますが,これは前記[2]の同法2条1項各号の行為にあたらないことの裏付けであり,「営利性,事業性がないこと」を根拠づけるものではありません。

(キ)以上のとおり,7月28日付通知の示す4要件のうち,<1>は無関係の要件であり,<2><3><4>はいずれか1つでも満たせば,旅行業法上の登録義務はないというべきであるのに,すべてを満たす必要があるかのように記載し,さらに[1](報酬)の要件について言及していない,という誤りがあります(ただし,[1]を広く解した場合,[1]を満たさないならば[4]も満たさないと思われます)。

このように,7月28日付通知の示す旅行業法に抵触するか否かの判断枠組みには誤りがあります。それにもかかわらず,これらの各要件がすべて「当然に求められる」などとする記載は,現場を混乱させ,かえって自治体等の行う自然体験キャンプなどの活動を委縮させるものです。

 

ウ 問題点②=挙げられている例は営利性と無関係である

(ア)7月28日付通知は,「自治体が関与するツアーで認められる例」として4例を挙げています。

しかし,以下述べるとおり,これらはいずれも,営利目的の有無は問わないとする従前の観光庁の解釈を前提にしても問題のない事例ばかりであり,また適法であるとする根拠については疑問の残る例です。

なお,例のうち,「対象」は「不特定多数の者に募集を行うものでない」ものの例,「頻度」は「日常的に反復継続して行われるものでない」(事業性がない)ものの例,「形態」「参加費/回」は「参加者から徴収する金員では,収支を償うことができない」(営利性がない)ものの例,「主体」は「自治体が関与するツアーについて,実質的に企画・運営するものである」例を挙げるものとみられますので,それぞれ例として適切か順次検討していきます。

(イ)対象について(「不特定多数」でないといえるか)

4例の対象は,「市内の小中学生」「町内の小学生高学年~高校生」「市内の小学生」「市周辺居住の独身の男女」とあるところ,これは「募集」の要件に関し,これらの対象が「不特定又は多数」といえるかが問題となります。

「不特定」につき,出資法の「不特定」の意義について,所属員が相当多数であって親族・知己等といった個人的つながり等もなく、つまり個別的な認識もないような場合においては、単に一定の団体等に所属する者と限定しただけでは,特定したとはいえない,とした裁判例(福岡高判昭37.7.11判時313-26)があります。ただし,出資法は「不特定かつ多数」を要求しており,「不特定又は多数」ではありませんから、問題のある例を処罰するため、「不特定」を広く解している可能性はあります。

そうすると,多少緩やか解したとしても,同じ学校の生徒である,同じ町内会に所属しているなど,少なくとも1,2人を介することで個別的な認識を有しうるような場合でなければ,「特定」とは言い難いと考えられます。

前記の4例のうち,子どもを対象にする例は,市内又は町内に小学校が1つしかないか、複数の場合は数校にとどまりかつ相互に交流があって,人数もせいぜい数百人程度にとどまる場合であれば,「不特定」でも「多数」でもないといえるかもしれませんが,それ以外の場合には「不特定又は多数」に該当することは明らかといえましょう

また,「市周辺居住の独身の男女」は,1,2人を介することで個別的な認識を有し得るとは考えられず,「不特定」に当たる上,「市」は通常数万以上の人口を有し,その「周辺居住の独身の男女」は数千人に上ると見込まれますから,「多数」にもあたるとみられます。

以上のとおり,明らかに「不特定多数」でないといえる例はなく,「不特定多数の者に募集を行うものでないことは…当然に求められる」とする通知本文と矛盾します。

(ウ)頻度について(事業性がないといえるか)

頻度は,「年1回」と「年数回」が挙げられていますが,前記のとおり,年1回の開催であっても,それが毎年定例的に行われており,反復・継続される見込みがあれば事業性が認められる可能性は少なくないとみられ,まして年数回の場合は事業性が認められる可能性は高いといえます。

したがって,従前の裁判例に照らすと,明らかに「事業性がない」といえる例はなく,「日常的に反復継続して行われるものでないこと…は…事業性がないことを裏付けるものとして,当然に求められる」とする通知本文と矛盾します。

(エ)参加費及び形態について(営利性がないといえるか)

参加費及び形態は,バス移動+宿泊で5000円及び3000円の例,バス移動+キャンプでキャンプ代として1000円の例,バス移動+体験で昼食代+体験料として男性5000円,女性4000円の例が挙げられています。

このうち,バス移動+宿泊であれば,5000円及び3000円の参加費は,バス費用と宿泊費用を補って余りあるとは考えにくく,むしろ活動費用や食費相当額に過ぎない可能性もあります。これらの金額が活動費用や食費相当額に過ぎず,実質的にも参加費を活動費用や食費に充てる趣旨で徴収しているのであれば,そもそも運送等サービスの提供の対価を得ておらず,「報酬を得て」の要件を満たしません。また,いずれにせよ,この程度の参加費であれば「営利の目的」もありません。

次に,1000円の例は,キャンプ代として1000円はキャンプ費用として相当な金額といえますから,バス移動の費用は徴収していないといえます。この場合も「報酬を得て」の要件を満たしませんし,当然「営利の目的」もありません。

最後に,昼食代+体験料としての45000円ですが,この金額が昼食代+体験料として相当な金額であれば,バス移動の費用は徴収していないといえますから,「報酬を得て」の要件を満たしません。また,昼食代+体験料を多少超過するにせよ,バス移動の全額を賄うには足りないでしょうから,全体として参加費収入より支出の方が多いことが見込まれ,「営利の目的」はないといえます。

したがって,ここで挙げた例は,「参加者から徴収する金員では,収支を償うことができない」もので,「営利性がない」ものの例ともいえますが,そもそも営利性を問題とするまでもなく,「報酬を得て」の要件を満たさないため,従前の観光庁の運用でも適法であったとみられるものです。営利性をいうならば,「報酬を得て」の要件は満たすものの,参加費が支出を賄えないため「営利の目的」が認められない例を挙げるべきです。

(オ)主体について(自治体の関与の程度について)

主体については,教育委員会主催のほか,教育委員会が任意団体に委託,市役所が一般社団に委託という例が挙げられています。

もっとも,前記のとおり,自治体の関与の程度は旅行業法上の登録義務の有無とは関係がないため,これらの主体はかかるツアーが認められるかどうかには関係ありません。

なお,委託の例で,委託先である任意団体や一般社団が旅行業の登録をしていない場合,これら任意団体や一般社団においても旅行業法の登録義務が生じないことを確認しておくべきでしょう。任意団体や一般社団が無登録営業であったからといって,委託した教育委員会や市役所が刑事処分を受けるかどうかは事情によりますが(旅行業法違反(無登録営業)の共同正犯か教唆犯が成立することは考えられます),自治体が違法行為を助長するべきではありません。

そういった意味では,旅行業の登録をしてない株式会社を挙げなかったことは肯定的に受け止めてよいのかもしれません。

(カ)以上のとおり,「自治体が関与するツアーで認められる例」の対象及び頻度はそれぞれ,不特定多数に募集しないもの,事業性がないものの例として適切ではありません。

そうすると,これらは不特定多数に募集し,かつ事業性があると判断されるおそれのある例ですから,7月28日付通知の本文のとおり,自治体の関与+営利性なし+事業性なし+対象が不特定多数でない,の4要件がそろって初めて適法に実施しうるとすれば,これらの例はいずれも適法には実施しえない例であって,不適切です。

たしかに,旅行業法の適切な解釈に立った場合,4例はいずれも「報酬を得て」とはいえず,また「営利の目的」がないとみられるため,旅行業の登録なくして適法に実施しうるものです。

しかし,4例はいずれも今回の通知で言及された「営利の目的」を問題にするまでもなく,観光庁の従前の解釈を前提にしても「報酬を得て」の要件を欠くため適法に実施しえたものです。

より多額の参加費を徴収しており「報酬を得て」にあたるおそれはあっても,「営利の目的」が認められない程度の金額であるため適法に実施できるツアーを実施している自治体にとっては,このような少額の参加費の例だけを提示することは委縮効果をもたらすおそれがあります。

 

エ 小括

自然体験キャンプや婚活イベントといった自治体主催のツアーは教育・青少年育成や地域住民の交流など積極的な意義を有するものであり,旅行業法に抵触する場合は当然許されないにせよ,適法に実施しうるものまで委縮させることは地域住民の福祉を損ないます。

したがって,前記のとおり旅行業法の登録義務がある場合を誤って記載し,適切でない事例を載せた7月28日付通知は地域住民の福祉を損なうおそれのあるものであって,早急に旅行業法の適切な解釈に基づき,委縮効果をもたらさないような通知を発するべきです。

旅行業法とサマーキャンプ問題:1 旅行業法の規制方法

1 旅行業法の規制方法

(1)旅行業法の概要

旅行業法は,「旅行業等を営む者について登録制度を実施」するなどして「旅行業務に関する取引の公正の維持、旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的とする」法律です(同法1条)。

そして,第2条1項で「旅行業」の定義を置き,第3条で「旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者」の登録義務を定めています。

登録をしないまま「旅行業を営んだ者」に対しては,100万円以下の罰金刑が定められています(同法29条1号)。

ちなみに,同法29条1号は,「旅行業を営んだ者」としか書いていないため,文言上「旅行業者代理業を営んだ者」は無登録でも処罰されないことになります。

 

(2)旅行業法の登録制度の概要

旅行業法に言う「旅行業」とは,第2条1項柱書において「報酬を得て、次に掲げる行為を行う事業」をいうとされていますので,ア「報酬を得て」イ「次に掲げる行為を行う」ウ「事業」をいいます。

さらに,第3条は「旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない」としていますから,旅行業を,エ 「営もうとする者」に登録する義務があります。

そうすると,登録義務があるのは,ア「報酬を得て」イ「次に掲げる行為を行う」ウ「事業を」エ「営もうとする者」となります。

なお,引用する裁判例は次のとおりです。

①松山簡判平23.11.24

②高松高判平25.1.29高刑速平25-259

③最高裁平25.4.4

④松山簡判平27.3.24

⑤高松高判平27.10.8高刑速平27-335

⑥最決平28.2.26

⑦東京高判平26.6.20高刑速平26-67

⑧最判平27.12.7

(①~⑥,⑦⑧はそれぞれ一連の事件です。)

 

ア 「報酬を得て」

「報酬を得て」は,イの一定の行為を行うことによる対価を得てという意味であるとされています(裁判例⑦)。

そして,結果として利益を生ずることは不要とされています(裁判例①,②。③は上告棄却)。

そうすると,交通機関や宿泊施設に支払うべき金銭を「預かっている」にとどまる場合は「報酬」に当たらないものの,参加者から金銭を受領して収入とし,その一部を交通機関や宿泊施設に自ら支出する場合は,当該収入を得ることで「報酬を得て」に該当すると考えられます

なお,その収入が支出に足りない場合は「報酬を得て」にあたらないとの見解もありうるとは思われますが,過去の裁判例に照らすと「報酬を得て」に該当すると判断される可能性は否定できません。

また,参加者からは報酬を得ていなくても,交通機関等から報酬,手数料等の金銭を受領している場合は,「報酬を得て」に該当します(裁判例⑦。⑧は上告棄却)。

 

イ 「次に掲げる行為を行う」

同法2条1項各号に定める一定の行為を行うことをいいます。

代表的なものは,いわゆるパックツアーの販売・実施ですし,今回問題になっている自然体験キャンプなどもパックツアーに該当するため問題になっていますから,ここではこの点のみ検討します。

1号に規定があり,要約すると旅行の目的地や日程,利用する運送サービス等(交通手段や宿泊施設),参加費を,参加者を募集するためあらかじめ作成し,さらに運送サービス等を提供する者(交通機関や宿泊施設)と自己の計算において契約する行為とされています。

「旅行」とは「人が住む土地を離れて一時的に他の土地に行くこと」をいい,「運送や宿泊の各サービスを利用して場所的に異動することや一定地域で逗留することを広く含む」ものとされます(裁判例②)。

「募集」は「不特定又は多数の者に対して,旅行の参加の申込みを勧誘する行為」をいいます(裁判例①。②も同旨)。なお,修学旅行や職場旅行,町内会のバスツアーなどは,勧誘する対象が「不特定」でも「多数」でもないため,「募集」にあたらないと解されます。

「自己の計算において」は「その全部の経済的効果を自らに帰属させること」をいい(裁判例②),交通機関等との契約や,費用の支払を参加者ではなく自らの名義で行う場合は認められると考えられます。

「運送等サービスを提供する者」は,交通機関や宿泊施設だけでなく,「間接的に運送等サービスを提供する者」も含まれるとされ(裁判例②),交通機関等を手配する他の旅行業者などを通じて手配する場合も旅行業に該当することになります。

 

ウ 「事業」

「事業」とは,「反復継続する意思を持って一定の行為を行うこと」をいい,収益が上がることはその要件ではありません(裁判例①,②)。

裁判例①,②は,旅行業該当行為を含む年1回のバイクツアーを2年にわたって行い,その後も継続する意思があったが,赤字ないし不採算のため2年2回で中止したという例ですが,事業性が肯定されました。ただし,旅行業該当行為を含まないバイクツアーを日本国内外で実施してきた経緯も踏まえての判断です。

年1回は少ないようにも見えますが,頻度はあくまで「反復継続する意思を持って」いたことを推認させる要素に過ぎず,1回行っただけでも,「反復継続する意思を持って」行った場合は事業に該当するというのが判例ですから,年1回でも毎年同じ時期に行うことを予定していた場合には,「反復継続する意思を持って」したと評価されることは否定できません。

 

エ 「営もうとする者」

ここでいう「旅行業に該当する行為を営むとは,営利の目的で,旅行業に該当する行為を行うこと」をいいます(裁判例②)。

そうすると,「営もうとする者」は,「営利の目的で,行おうとする者」という意味になりますから,実質的には旅行業を行うにつき「営利の目的」を有することを求める要件となります。

この「営む」の解釈につき,裁判例②の判示が正当であることは3で詳述します。

また,この「営利の目的」は,4で後述するとおり,財産上の利益を得ることを目的とすることをいいます。

そして,旅行業該当行為の部分とイベント部分を一体のツアーとして包括料金を得ている場合は,ツアー全体が営利目的であるかどうかを判断し,ツアー全体が営利の目的で行われる場合は,旅行業該当部分も営利の目的であると判断すべきであるとされています(裁判例⑤)。

 

オ 小括

以上から,旅行業法に基づいて登録義務を負うのは,次の[1][4]の4要件をすべて備える場合に限られます。

 

[1]報酬を得ること

 =次の[2]の行為による対価を得ること

[2]同法2条1項各号の行為を行うこと

 [2-1]「募集」のため=勧誘対象は不特定又は多数の者

 [2-2]「旅行」の計画を定めること

 [2-3]「自己の計算において」

 [2-4]「運送等サービスを提供する者」と契約すること

[3]事業であること

  =反復継続する意思を持ってすること

[4]営利の目的があること

 =財産上の利益を得ることを目的とすること

 

(3)自然体験キャンプと旅行業法

自然体験キャンプでよくある形式は,

 

・参加者又はその保護者から一定の参加費を徴収し,

・参加の申込みを勧誘するため,出発日や交通手段・活動内容・宿泊地・参加費などを定め,主催者が自らの名義で直接又は旅行業者を利用して交通機関や宿泊施設を手配し,その費用を支払い,

・例年継続的に行われる。

 

ものです。

 

ア 参加費が報酬にあたるか

参加費の点は,活動内容と参加費の額によって判断が異なります。

2泊3日のキャンプで参加費が1人2000円にとどまる神奈川県開成町のように,食費程度しか徴収しておらず,交通費や宿泊費は主催者が負担しているとみられるものについては,そもそも運送等サービスを手配することとの対価関係がなく,「報酬を得て」の要件を満たさないと解されます。

他方,2万2000円~5万8000円の参加費を徴収していた川崎市のふれあいサマーキャンプのような場合は,交通費や宿泊費を全額賄ってなお余るだけの参加費を徴収しているかどうかは疑問が残りますが,その内訳が明確でないため,「報酬を得て」の要件に該当する可能性は否定できません。

 

イ 同法2条1項1号の行為にあたるか

「募集」の点につき,勧誘する対象が不特定又は多数といえるかが問題となります。

小学校が1校しかないか,複数あっても定期的な学校間の交流があるような小規模な町村において,当該町村内の小中学生を対象に行うような場合には,勧誘する対象が不特定ではなく,多数でもないといえるかもしれませんが,学校以外が行う場合には,「募集」に該当する可能性は否定できません。

また,政令指定都市のように勧誘する対象となる小中学生が多くの学校に分かれており,通常交流がないような場合には,勧誘対象が少なくとも多数であるとして,「募集」にあたる可能性が高いとみられます。

「募集」に該当する場合,同法2条1項1号に該当するといえるでしょう。

 

ウ 事業にあたるか

前記のとおり,年1回ながら例年行う予定であったもの(実際には2年2回で終了)について,事業性が認められた例があります(裁判例②)。

そうすると,その頻度によらず,定例の行事として反復・継続する見込みがある場合は事業に該当すると考えられ,年1回の開催であっても,それが毎年定例的に行われるものであれば,事業性が認められる可能性は少なくないとみられます。

なお,川崎市の例は1990年から毎年夏に数コースを実施していたとのことであり,事業性は優に認められると考えられます。

 

エ 営利目的があるか

主催者が地方自治体である場合,これらの事業は教育目的で行われるものと考えられ,営利の目的でこれらの事業を行うことは通常考えにくいといえます。

特に,地方自治体やその外郭団体等が行う場合,事前の準備費用(下見や募集,申し込みの受付などの費用,人件費等)やスタッフの参加費用などは主催者である地方自治体等が負担し,活動そのもののいわゆる実費(交通費,宿泊費,食費,活動費等)についても,その一部を地方自治体等が負担することが多いと考えられます。

このように,主催者である地方自治体等は,自然体験キャンプを行うことで,全体として収入よりも支出が多いことを予定しており,参加者から徴収する参加費等の収入が支出を上回るよう参加費等を設定しないのが通常ですから,そのような場合には,自然体験キャンプを行うことで財産上の利益を得る目的,すなわち営利の目的があったとはいえず,ひいては旅行業該当部分についても営利の目的があったとはいえません。

なお,主催者が地方自治体でない場合についても,自然体験キャンプの収支の見込みを考察し,自然体験キャンプを行うことで財産上の利益を得る見込みがあったといえるかどうかを判断すべきことになります。

その際,公益法人が行う公益目的事業については,「その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない」(公益法人認定法14条)という要件が課され,行政庁がそのような見込みがある場合と認めた場合に限って公益認定がされますから(同法5条6号),収入が支出を超えない見込みである以上,財産上の利益を得る見込みはなく,営利の目的はないのが通常であるといえます。

他方,株式会社がその事業として,又はその事業のためにする行為は,商行為とされており(会社法5条),商行為は営利の目的を伴う行為ですから,営利の目的があるのが通常であると考えられます(裁判例⑤も同様の前提で判断しているとみられます)。

 

オ 小括

自然体験キャンプが旅行業法上の登録なしに行い得るのは,次のような場合となります(○は無登録営業にあたらないことが明らかな場合,△は無登録営業にあたらない可能性がある場合。なお,いずれか1つにでも該当すれば適法である。)。

これをみると,今回問題となった自然体験キャンプのうち,神奈川県開成町のように参加費がごく低廉な場合は「報酬を得て」に当たらないとして適法に実施できますが,その他については旅行業に該当すると判断されるおそれがあり,あくまで「営利の目的」がないために適法に実施しうるというほかありません。

 

(「報酬を得て」に当たらない場合)

○交通費及び宿泊費を全額,主催者が負担していることが明らかな場合

△交通費及び宿泊費に充てる部分を預り金として処理しており,かつ,他に報酬を得ているとみるべき事情がない場合

△参加費が交通費及び宿泊費の実費を超えないことが明らかな場合

 

(「募集」に当たらない場合)

△小学校が1校しかないか,複数あっても定期的に学校を超えた児童・生徒間の交流があるような小規模な市町村において,当該市町村内の小中学生を対象に行うような場合

 

(「事業」に当たらない場合)

○1回実施するのみで,過去に同様のイベントを実施しておらず,将来にわたって同様のイベントを実施する見込みがないことが明らかな場合

 

(「営利の目的で」に当たらない場合)

○地方自治体やその外郭団体等が主催し,当該イベントの収支差額の穴埋めのために一定の公費支出が見込まれている場合

○公益法人が公益目的事業として実施しており,公益法人認定法14条違反など同法の公益認定の潜脱がない場合

2017年7月28日 (金)

川崎市教委のサマーキャンプは旅行業法上、何ら問題ない

今夏,川崎市教育委員会等でつくる実行委員会主催のサマーキャンプをはじめ,地方自治体が行う子ども向けの自然体験活動が旅行業法に違反するとして中止される事例が複数発生しています。
いずれも,主催者が旅行業法3条に基づく登録を受けていない点が問題とされています。

旅行業法3条は,次のような条文です。

(登録)
第三条   旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない。

この「旅行業」は、同法2条1項で定義されており、①「報酬を得て」②一定の行為を行う③事業をいう、とされています。この②の行為は、具体的には旅行の行先や日程、旅行中の交通機関や宿泊施設を決め、料金を設定して参加者を募集する一方、交通機関や宿泊施設を確保するという、いわゆるツアー会社のパックツアーなどが定められています。
旅行業法は、もともと旅行の手配をすると称してお金を受け取り、持ち逃げをしたり不当に高額なマージンを取ったりする悪徳業者を取り締まりために制定された法律ですから、シンプルにいえば、不特定又は多数の人に参加を呼び掛けてお金を集め、旅行の手配(交通機関や宿泊施設の手配)をすることを繰り返していると、完全に実費精算となっていない限り、「旅行業」に該当する可能性はかなり高いといえます。
そして、今回のサマーキャンプも、市内の子どもたちに呼びかけて参加費を集め、交通手段や宿泊施設を手配するのを毎年繰り返していたようですから、「旅行業」にあたる可能性は高いでしょう。

行政機関のウェブサイトでも、旅行業を「行う」には登録が必要などと書いているところもありますが、法律には「営もうとする者」と書いてあります。
実は、旅行業を「行う」と「営む」は意味が違う、というのが裁判所の見解です。
高松高裁平25.1.19判決は、旅行業法上の登録をせずにバイクツアーを主催したことが旅行業違反であるとして問題になった事件ですが、この判決では「旅行業に該当する行為を営むとは、営利の目的で、旅行業に該当する行為を行うことをいう」との判断が示されており、旅行業を行う場合でも、営利目的がなければ登録義務はないとされています。

市教委等が行うサマーキャンプに営利目的があるとは考え難く、旅行業者として登録していなくても、実施することに問題はありません。

このような問題が広がった背景には、観光庁の通達である旅行業法施行要領に、「国、地方公共団体、公的団体又は非営利団体が実施する事業であったとしても、報酬を得て法第2条第1項各号に掲げる行為を行うのであれば旅行業の登録が必要である。」(第1の1の2)との記載があるためと思われます。
この記載を読むと、非営利団体まで明示されている以上、営利目的の有無によらず登録義務があるというように解釈でき、実際、そのように解説している困った弁護士もいます(※)。

※https://www.mc-law.jp/kigyohomu/24416/

当職としては、旅行業法施行要領を改正する必要があると考えています。7月25日、自然体験活動の推進に熱心な衆議院議員に陳情し、そのまま観光庁で担当者に高松高裁判決を示して対応を求めました。
翌26日にも、別の自然体験活動の推進に熱心な衆議院議員の事務所で陳情させていただきました。

そうしたところ、本日、営利目的がなければ問題がないという通知が発出されたようです。

※http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170728/k10011078661000.html

営利目的がなければ旅行業法の規制対象ではありませんから、ボランティアツアーが名簿を提出するなどした場合に「特例」で認めるというのは変な話なのですが、肯定的な内容のように思えます。

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